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zoom RSS 江戸川乱歩の美女シリーズ・3

<<   作成日時 : 2011/08/04 02:19   >>

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久しぶりに「美女シリーズ」感想の続きを書きました。
前のから大分経ってましたねぇ…。

江戸川乱歩の美女シリーズ・1(第1作〜第6作)
http://gakuboukun.at.webry.info/200912/article_2.html
江戸川乱歩の美女シリーズ・2(第7作〜第12作)
http://gakuboukun.at.webry.info/200912/article_3.html

しかも、書いてたら異常に長くなってしまい今回は3作品だけです。
まぁ、何と云いますか
暇つぶしに読んでいただければ有り難いです。


☆第13作 魅せられた美女(原作「十字路」)

原作は戦後、別の作家と共作で書かれた作品で
そのためか、猟奇的なムードもほぼゼロで
「魔術師」とか「吸血鬼」みたく、何やら奇っ怪なニックネームを
思わず自ら名乗り上げてしまう犯人も出ない
乱歩作品には珍しい、真っ当な倒叙ミステリです。
いわゆるコロンボみたいな、冒頭まず犯人側の…というヤツです。
しかしこういった怪人の出ない物のほうが
やはり二時間サスペンスには合う感じで
この天知版はなかなか面白かったです。

倒叙物なんで、まぁ明かしても大丈夫ですが
犯人はやたらと自信過剰の芸能事務所社長・待田京介。
明智のことを「大したことない」とえらく上から目線で批判し
後半、鍵となる死体隠蔽のトリックを追う明智に対しては
「これは知恵の勝負だ、明智!」と心の中で叫ぶなど
随分、好戦的頭脳派キャラとして
なかなかの見得を切ったりするんだが
さかのぼって考えて、元々なぜこんな事件になったかと云うと
単に、彼が狙ってたお姉ちゃんの家に
ヒステリーの嫁さんが乗り込んで来たため
慌てて殺してしまった、という凡庸な事件だったりします。

ちなみに彼の芸能事務所。
待田の腹心の部下が中条きよしという、
娘を持つ親なら絶対入れたくない
アダルト臭極まる芸能事務所です。

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まぁ、そんな待田のコトは置いといて
今作の一番の見所といえば、正義のアダルト・天知茂が
明智役の他、妹思いの将棋指し役という1人2役をやってるトコです。
当時の最新映像技術を駆使した、夢の「2人天知」競演シーンなど
正直、観賞時の自分は無表情でしたが
なかなか…面白いんじゃないでしょうか。

しかしそんな夢の競演も長くは続かず
将棋指しの方の天知は
歌手である妹の吉報についつい痛飲していまい
酩酊状態で帰宅途中
うっかり他人の車に乗り込んで寝てしまうんですが
その車が偶然にも、嫁の死体運搬中だった
待田の車だったため殺されてしまうのでありました…。

いや、こんなコトってあるんですねぇ。


☆第14作 五重塔の美女(原作「幽鬼の塔」)

前作の「十字路」に続き、今作も明智の出ない原作です。
素人探偵が五重塔での首つり現場を目撃したことから
新進気鋭の著名人達が隠した過去の事件が明かされていく…。
というのが原作の展開なんですが、この天知版、残念なことに
原作の肝である、様々な場所の五重塔での首つりシーンが
一切、出てきません。
まぁ撮影許可が確実に下りなさそうなんで
仕方がないと云えば仕方ないんですが…でもなぁ。
その辺り、スタッフも何とかしなければと思ったんでしょうね
苦心を重ねた結果、本作では各死体の胸元に
五重塔プロマイドを貼り付ける、という
一番ライトな解決策を取っていました。

あと、この物語でもう一つ出てくるキーワードに
降霊会というのがありまして
(確か正式には「交霊会」というのが正しいみたいなんですが
原作が「降霊会」と書いてあるもんで、こうしときます)
乱歩作品では他にも中絶作品「悪霊」など出てきたり
また他の探偵小説にも、結構出てきたりする
霊と交信するといったオカルトイベントだったりするんですが
確か降霊会ってこんな感じだと思うんですよ↓

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ところがこの天知版では、全編こんなのになってまして…。

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完全にイタコ、という感じで
まぁ、確かに判りやすいといっちゃあ判りやすいんだけど
物語は、インテリ男子学生たちが作った秘密クラブだっただけに
もうちょっと何とかならなかったのか…とも思ってしまいます。
何というか、合格祈願のように見えます。

…何かいつもよりもボロボロに突っついてるような気もしますが
実はこの原作、自分の中では乱歩ベスト1作品だったりするんですよ。
内容もかなり好きなんですが、それよりも何と云いますか
これに出てくる素人探偵が、自分にとって理想の探偵像だったりして
初めて読んだのが、小学生の頃だと思うんだけど
ラストの探偵の選択に当時痺れた思い出が強烈に残ってます。
今考えるとよくあるかなぁ、とも思うんですが
やはり初見のインパクト。大事です。
何か、そういった思い入れが今作の天知版を
ちょっとしたフィルターにかけて見てしまったのかも知れません。
ま、仕方ないよね!

でも実際のトコ、この天知版はそんな自分みたいな
思い入れのある輩を置いておくと
ツボを外さないストーリーの起伏や
明智の中盤のある行為が実は真相へのカギだったとか
最後の最後まで犯人が絞られないため犯人当てが楽しめるなど
なかなかの良作だとは思うんですよ。
特に原作のラストから物語をさらに一転させ
これぞ2時間サスペンス!というような、おニューの結末を用意するトコなど
これはこれで天知版では合ってんじゃあないかとも思ってしまいます。

あと最後に、全く触れられてなかった今回の天知茂なんですが
こんな事になってしまいます…。↓
まぁ、今までに何度もあったんですが。

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はたして本当なのか!?
ドキドキした人は、今すぐレンタル屋へ!

あと、もう一つどうでもいいことを思いだしました。
図書館なんかによくある横尾忠則が全挿絵を描いている
講談社版の江戸川乱歩全集の「幽鬼の塔」の挿絵。
アレ、もの凄く怖いです。
一回、見てみて下さい。


※訂正!

この間、図書館で講談社版の乱歩全集をパラパラ見ましたら
横尾忠則以外にもいろんな人が挿絵、描いてました!
てっきり全挿絵を描いてると思ってたんですが、大勘違いでした!
「少年探偵団」とか、花輪和一が描いてて素晴らしく良かったです。
ゴメンね!


☆第15作 鏡地獄の美女(原作「影男」)

タイトルは「鏡地獄」なのに、原作は「影男」という
いきなりややこしいなぁ!という今作なんですが
さらに「影男」も、原作といいながら
怪人が単にそう名乗りあげてるのと
途中、生き埋めシーンがあったくらいで
本編の内容は全く別物の話だったりします。

開始早々、密輸疑惑がある宝石商を追っかけて
という設定で、我らが明智は香港へ!
シリーズ初の海外ロケとスタッフも少々テンションが
上がったのか、BGMも銅鑼をフューチャーし正直やかましいです。
そんな騒音をかき分けて、明智は疑惑宝石商に
近づいていくのですが、その宝石商役は西田健!
さぞや頭髪関係で2人、話が弾むんじゃないかと
暖かい目線で見守っていたところ
次のシーンでいきなり西田が爆死!
西田の活躍を楽しみにしてただけにこれはなかなか驚きました。

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しかもここまで冒頭3分たらず。
そして驚きの明智の表情とともに、すぐさまタイトルインと
テンポも良く、職人・井上梅次の冴えわたった演出にハートを捕まれます。
それで今思いかえしてみたんですが、天知の美女シリーズは
毎回、タイトルインに至る演出が素晴らしいですねぇ。
勿論あのテーマソングも素晴らしいんですが
一気にドラマに引き込んでしまうプロのテクニックという感じで
何か学ぶトコは多いんじゃあないか、と思ってしまいます。

そして物語は西田の妻、「宝石の美女」に続き登場の金沢碧が
亡き西田の負債のため、これまたシリーズ3度目の登場の岡田英次に
金と権力と押しの強さに負け愛人になってしまう、という
悲劇の流転ヒロイン展開へと流れるんですが
そんな愛人生活になったのもつかの間
実は顔が無茶苦茶になりながらも生きていたという西田が緊急帰国!
透明人間みたく顔面包帯グルグル巻き姿で
自称・影男と名乗り、事あるごとに金沢の視界の隅にチラチラ入ってきたり
浴室を出歯亀、といった西田お得意の陰湿行為を繰り広げるもんだから
金沢がどんどんヘトヘトになっていきます。

そんな中、明智先生は何をしてたかと云いますと
冒頭の爆発に巻き込まれ、目を負傷
前半は包帯&グラサン姿という半盲目状態で
ベットで寝てたり、事務所に座ってるだけだったりするんですが
別にそれが後に重大な意味を、とか
盲目状態だったからこそ得ることが出来た推理、というのは相変わらず全くなく
声だけ聞いて姿が判らない金沢碧を
終止、どんな顔だろ?と夢想し続けてる、といった感じでした。

そして物語は、影男・西田が何処から持ち出してきたのか判らない
西洋の死神が持ってるみたいなでっかいカマを振り回しはじめるもんだから
さすがの天知も、グラサンを外し腰を上げざるえなくなり
真相を探りに、再び香港へと飛び立つのですが
数日後、日本の新聞の紙面には以下のような見出しが躍ります。

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はたして天知は無事なのか!?
影男は本当に西田健なのか!?
今すぐレンタル屋へ…行かないでしょうか?

ちなみに原作の「影男」は
個人的感想として、前半は無茶苦茶面白いと思うんですが
後半、突如グダグダになってしまい、何でこうなったんだろう…と
別の意味で目を見張るモノがあります。
あと「大暗室」という作品の感想も似た感じで
この2作品、もっとふさわしい展開があったんじゃあないか、と
時折考えたりしてしまいます。

あと最後に、大事なことがありました!
今作では、あまりファンの間でも語られていない
名探偵・明智小五郎の特技が明かされていました!
それはルービックキューブで
明智が手に取り、荒井注の顔にカメラが切り替わった
ほんの一瞬の間に6面を揃えてしまうという華麗な早業を
2度にわたって披露しています。

誰かウィキペディアの明智小五郎の項目に
書き添えていただけないでしょうか。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

…あと残り10作品。
早いトコ、書いていこうと思います。


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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

その後、書いたヤツです。

江戸川乱歩の美女シリーズ・4(第16作〜第19作)
http://gakuboukun.at.webry.info/201209/article_1.html



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