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zoom RSS 江戸川乱歩の美女シリーズ・4

<<   作成日時 : 2012/09/08 09:58  

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えらく間が空いて、9月になりました。
全くもって、すいませんです…。

本と、頑張んねばいけない!と思い
とりあえず、「美女シリーズ」の続きを書きました。
…頑張るトコが違うような気もしますが。

今回は、第16作〜第19作まで。
ダラダラと書いてましたら
今までにないくらい、長くなってしまいまして…

まぁ何となく、ヒマな時にでも
読んでいただけましたら、浮かばれます。

江戸川乱歩の美女シリーズ・1(第1作〜第6作)
http://gakuboukun.at.webry.info/200912/article_2.html
江戸川乱歩の美女シリーズ・2(第7作〜第12作)
http://gakuboukun.at.webry.info/200912/article_3.html
江戸川乱歩の美女シリーズ・3(第13作〜第15作)
http://gakuboukun.at.webry.info/201108/article_1.html


☆第16作 白い乳房の美女(原作「地獄の道化師」)

「地獄の道化師」というナイスなネーミングとともに
次々と美女狩りを行う謎のピエロ怪人。
そしてそれを追いかける、我らが天知の活躍!

シリーズ恒例の美女なんですが、今回は…片桐夕子です。
他にも、シリーズ13作「魅せられた美女」に出てた
可愛い子ちゃん・岡田奈々が出てるんですが
あっさり途中退場してしまうわけで
残った彼女が、その称号を得ると思うんですけど…
役どころが如何せん「とにかく暗い」というキャラクターなんで
正直、なかなか見ていて息苦しいモノがあります。
片桐ファンの方々、すいません。

しかも、関係をもった陶芸家・蟹江敬三に
「あの陰気さは男には好かれないなぁ…」とか
「そのくせ、男を見る目つきがギラギラしてた…」などと
ボロカスに云われてしまう始末で
気の毒さ、という点では特筆すべき今回の美女です。

原作とは違う設定として、荻島真一が経営するバレエ教室の
次期プリマ争い、というあまり興味の持てない話が
結構なメインの話として挿入されるんですが
何と云いますか、荻島の着こなせていない指導者ルックや
その安っぽいレッスン風景などを見てると
学生時代に友達から借りた古いAVのドラマ部分って
こんな感じだったなぁ…とかいった思いにかられてしまいます。

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そして物語は、謎のピエロ怪人に対し
明智事務所に集まった捜査メンバー全員が
「おどけ、厚化粧、トンガリ帽子、年齢不詳…」、と
とりあえずピエロの特徴をいろいろと出して
何かヒントめいたモノはないかと頑張るのだが
犯人の性別はおろか、さっぱり謎は解けないまま
明智先生自ら、結構ハッキリした口調で
「さっぱり糸口が見つからない…」と云ってしまう始末。

そして警察たちも
とりあえず町のサンドイッチマン狩りを行う、といった
なかなかの混迷っぷりをみせたりするんですが
そんな中、犯人自ら残していった手紙の締めにおいて
「ウフフ」と書いてしまう、痛恨のミス!
犯人も、さぞや肝を冷やしたと思うんですが
その手紙をチェックしたのが、荒井注扮する
浪越警部だけだったもんで、あっさりスルーされました…。
よかったね、犯人!

あと、犯人に狙われるお姉ちゃんたちは
もれなくピエロ人形が送られてくる、という
ちょっとした特典があるんですが
コレが、既製品にちょっと手を加えただけの
シンプルな作りながら、効果はバツグンといった出来で
なかなかセンスがいい犯人だなぁ、と感心してしまいます。

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☆第17作 天国と地獄の美女(原作「パノラマ島奇談」)

冒頭、視聴者に新年の挨拶をする明智先生という
これ以上にないおめでたいショットに
新春3時間スペシャルの並々ならぬ気合が感じられます。

3百億円もの資金をかけた、面白桃源郷・パノラマ島を
明智先生は「史上最大の愚挙」と吐き捨てるんですが
これを1月2日に正月特番3時間スペシャルで
制作したテレビ局も、なかなかの強者だと思います。
リアルタイムで見ていた方々は
さぞかし、いい1年を送れたんじゃあないんでしょうか。
羨ましい限りです。

原作は、乱歩の代表作とも云われる作品ながら
100頁ほどの中編作品でして
それを3時間とは、一体誰がどうやって…と思ったんですが
脚本家は、「悪魔のような美女」「エマニエルの美女」に続き
三度登場のジェームス三木!

そんなジェームスによって生まれ変わった本作は
原作において、人見広介による単独犯行だったモノを
伊東四朗扮する人見広介の他に
宮下順子扮する彼の妻、そして
映画「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」にも出ていた
ミスターパノラマ島こと小池朝雄を、宮下の愛人な上に
破廉恥新興宗教の教祖、そして今回の首謀者という面白キャラに配し
このズッコケ3人組による、トリオ犯行という具合に大胆変更!
まるでドロンボー一味のような、珍騒動を繰り拡げてくれます。
全然違う!

しかしです、これらのニューカマーたちによる
金と色欲、という俗物丸出しの安易すぎる参戦理由が
ドリーマー・伊東四朗の欲するパノラマ島という
一見、お茶の間には理解しがたいイマジンを、ある種
どこの町にもいる、許される範囲の面白おじさんのピュアな夢
といったイメージ変更することに大貢献し
視聴者が思わず伊東四朗を応援してしまう、という構成になっていて
コレははっきり云って、メチャメチャ上手いと思います!
ジェームス、前回は情事日記についてしかピンと来なかったんですが
いや、本とゴメン!という感じであります。
…自分だけかも知んないですが。

とまぁ、こんな感じで
今回はいつもの、明智や被害者たちの同行を追いつつ
さて一体、犯人は…というのと、ちょっと違って
完全に犯人側の伊東四朗が主役として
そんな彼らの1年越しの大計画を中心に進行していきます。

確かにコレって、原作と同じ流れなんですけど
やっぱ天知茂のシリーズだけに、そういう訳にもいかず
色々あった結果、なんでしょうか
時折、明智事務所の四季折々、といった映像が挿入されます。
ファンにとって、事務所の正月風景なんて
たまらないシーンなんじゃあないでしょうか。

そんな明智サイドの団欒風景をよそに
いよいよ後半、伊豆シャボテン公園や熱川バナナワニ園の
多大なる御協力を得て、いよいよ夢の秘宝館・パノラマ島が完成!
伊東四朗&小池朝雄が、かりそめの妻相手に
満面の笑みで大お披露目会を結構な尺で開催します。

一つ一つの光景ごと、得意満面に解説、自画自賛する
二人の嬉々とした姿。そして妻の興味ナッシングな顔…。
何か普段、自分が映画や本とかについて
ベラベラと人に喋ってる姿が妙に重なって
どうも直視出来ないモノがあります。
気をつけねば…と思わず背筋を正してしまう名場面です。

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そして物語は、明智も乗り込んできて一転二転
原作とも映画版とも違った、全てを覆す真相に辿りつきます。
これは…素晴らしかったなぁ!
本と、上手い脚本だなぁと感服します。
大好きジェームス!

正味な話、映画「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」や
原作のヤツよりも、この天知茂版のパノラマ島が
一番行ってみたいなぁ、と思います。
「大人・800円」という感じで、すごくイイです。

あと、最後にどうでもいい事なんですが
僕らの明智先生、恒例の「顔ベリベリ」シーン。
正月特番で気合いが入ってコスりつけすぎたんでしょうか
今回、顔に残ったゴムの樹脂の量が異常に多いです。

本と、どうでもいい事なんですが。

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☆第18作 化粧台の美女(原作「蜘蛛男」)

シリーズ8作目「赤いさそりの美女」において
世間を震撼させた、大作映画「燃える女」殺人事件に続き
またしても映画撮影現場が血に染まる!
そして美女を襲うのは、さそりから蜘蛛へ!

主演女優のヘアメイク、初演女優の親父の愛人…と
いまいち映画に関係あるのかないのか判らない娘さんたちが
次々と中くらいの蜘蛛に襲われ続けるも、撮影は果敢に進行し
そしてまた死体が積み重ねられる…という展開であります。

そんな呪われた大作映画のタイトルは…「恐怖の毒蜘蛛」!
もう制作止めろよ、と思ったりします。

しかし、この映画。
タイトルからだと、かつての大蔵映画のような
ゲテモノ臭がプンプンするんですが
後半、プロデューサーの事務室みたいなトコで
黒板に書かれた俳優名などを見るに
なかなか豪華な布陣でこの映画を制作してることが判ります。
…本編に出てくることは一切なかったですが

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想像するに、右隅に書いてある土屋嘉男辺りが
毒蜘蛛博士役だったんじゃあないでしょうか?

また制作会社である東洋映画の撮影所内には
「転校生」や「機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙」など
1982年に世間を賑わせる松竹映画のポスターが
やたらベタベタ貼ってあるんですが…その辺りは置いといて
その中に、今は「相棒」などで活躍してる
和泉聖治監督の一般映画デビュー作「オン・ザ・ロード」の
ポスターも混じってるのが、何かグッと来ます。

…しかしですね、残念ながら今作
原作は乱歩作品の中でも代表作と云われる名作で
ドラマでも、義足の博士・黒柳(原作は畔柳)が出てきたり
名場面である、ロケ中での女優誘拐場面が再現されてたりと
原作を上手く挿入しつつ、さらに乱歩の他の作品
「大暗室」や「魔術師」などの場面も、色々取り入れ
そして、「赤いさそりの美女」でも飛び出した
イグアナを小脇に抱えた毒虫愛好家(中尾彬)が再登場など
まるで今までの「美女シリーズ」の総決算の如く
バラエティに富んだ様々なシーンが出てくるんですが
不思議なコトに、ちょっとイマイチだったりするんですよ…。

何と云いますか、テンポが異常に悪い、というか…
劇中の大作映画「恐怖の毒蜘蛛」の制作のように
今回の撮影中、何かトラブルでもあったんでしょうか?

例えば途中、怪人に殺されてしまう娘さんのエピソードで
現場検証の結果
実は彼女、女装してた男だったことが発覚するんだが
何故ゆえに女装してたのか、何故今まで誰も気づかなかったのか
警視庁に戻って語られたりと、妙に引っぱるんですが
このエピソード
その後、全く本編と絡まないどころか、答えも語られない。
…何かこういうトコに、問題があるような気がします。

そんな気分で眺めると
毒虫愛好家・中尾彬の中途半端に飄々とした演技も
何か、2時間ドラマに小慣れまくり
「まぁ、自分の仕事はやるけどね…」と云った
大人の所作のように感じたりします。
原作が原作なだけに、かなり残念な一作と云いましょうか。

うーん、勿体ないです。

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☆第19作 湖底の美女(原作「湖畔亭事件」)

前作の失速から、不安を感じてたんですが
一転、今作は快作でした!
異常にテンポが良く
「やっぱイイなぁ、美女シリーズ」という感じです!

しかし、見る前は
えらく地味な原作だなぁ、と軽く考えてまして
まぁ内容も「湖畔で事件が起きる」ことくらいしか
被ってるトコが無いんじゃあ…と思ってたんですが
コレ実際見てみると、事件のキーポイントに
ビデオカメラが使われるトコなんか
原作の重要アイテムであるレンズを意識してたりして(多分)
何か、今まで全く感じたことがなかった
制作スタッフの乱歩愛に、少々グッと来てしまいました。

そんな乱歩愛溢れる、今作のストーリーと云うと
全編、とある画家の離婚問題に絡んだ妻、モデル、娘
友人、弟子、弁護士たちの財産相続のドロドロ劇が
湖畔近くのタイアップ丸出しホテルで繰り広げられる、という展開で
一見、乱歩のラの字もさっぱり感じさせないんですが
まぁこれも、スタッフの奥ゆかしさ…なんじゃないんでしょうか。

そんな、どうでもいい事件に
「蜘蛛男」事件解決後、同ホテルへ休暇のため
本と、ビックリするようなジャケットを羽織ってやってきた
明智先生が巻き込まれていき
物語は、ほぼ8割方がホテル周辺で進行して行きます。

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まぁホテル側としては、宣伝になるのかも知れないんですが
ホテル内で起こる事と云えば、陰惨な殺人事件な上
その前触れに、狙われた娘さんのベットの中に
夜な夜なコケシが紛れ込んでいる、というのは
世の中いろんな売り方がありますが、一般的には
正直、かなりマイナスなんじゃあないか…とも思ってしまいます。

そんなコケシ騒動で、周りはキャッキャ云ってる間に
また何だかんだと、その後色々ありまして
そして明智先生、何だかんだと推理して
顔ベリベリ!ばばーん!ワーッと解決してしまいます。

…この文が、それをキチンと伝えてるかは疑問ですが。
いや本と、面白かったんですよ!

しかも、今作が良かったお陰で
前作「化粧台の美女」で何が足りなかったのか
自分なりに気付く部分もあったりしまして
その代表的なのは
「前回は物語中、明智が奇禍に出遭わなかった」
というのはデカイなぁ、と思ったわけです。
毎回起こる明智のピンチに、自分も少々免疫がついてしまって
ついつい無の表情で観賞する、という感じだったんですが
やはり恒例シーンというモノは、シリーズ物では
かなり重要なんだなぁ…と思った次第です。

そんな反省が、制作陣にもあったのかなかったのか
今回は先生、この様な危険地帯に
ふらふらと足を踏み入れて行きます…
あぁ、先生ッ…!

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そんなワクワクが止まらない今作だったんですが
残念なことに、今回で
1作目からこの「美女シリーズ」を演出し続けてきた
名監督・井上梅次作品が終了してしまいます。

もちろん、シリーズはこの後も
いろんな監督を起用して、まだまだ続いてくわけですけど
本と残念で、やっぱり自分としては
初めに、シリーズの骨格を作り上げ
終止、バラバラマネキンと女体の大盤振る舞いで疾走した
サービス精神のカタマリの様な井上演出こそが
この天知茂版・明智小五郎の
最大の魅力なんだなぁ、と思う次第です。

…まぁ、次の作品を見て
全く違うことを云ってるかも知れませんが
そういう人間なんだ、ということで勘弁して下さい。

後、この監督交代と共に
シリーズ1作目からの助手、文代役の五十嵐めぐみ
2作目からの小林役、柏原貴も
今作をもって卒業ということになってしまいました。
これまた、残念です。

これも、監督交代を期にフレッシュなキャスティングに
という事で変更なのかも知れないんですが
もしかするともしかして、と思うことが1つありまして…。

それは、今作の物語中盤
荒井注扮する浪越警部が推理を披露して
「俺だって頭使ってんだ」という発言に対し
「それで頭の後ろが薄いんですね!」と
明智先生を前に爆笑する2人のシーンがあったんですが

あれが、何か
逆鱗に触れてしまう重大な問題だったのでは…と。
ちょっとだけ、考えてしまいます。

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

…本とに長々ダラダラと失礼しました。

残り6作。
また、頑張ります!



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